己の震え笑う様子に覚醒を見たのか、足元から人の声がした。
察するにここの住人であろう男・・・凄く、声がいい。
低いバリトン。先刻喩えた硬いベッドスプリングさながらの。
その声の良さにまた身が震えた。ゾクゾクと背筋を駆け上る感覚に産毛までもが総毛立つ。
「・・・ァ・・・ 」
 声が変に掠れる。雨に打たれすぎたか、喉に力を込める度に痛みがはしるが上手く言葉にならない。
うつ伏せてシーツを引っ掻く。身体を起こそうとするが両手足にダンベルでも付けられているかのように動かず、引力の存在をまざまざと見せ付けられた。
「生きてはいるようだな。しばらくじっとしとけ。」
 威圧的だが、どこかあやすように聞こえる言葉についに起き上がる事を断念した。
それよりも、これからどうしようか。
助けてくれたのは有難いが、これ以上何処の誰だかわからない人間に厄介になるのも悪い。
身体が回復次第出て行くしかない。金も当てもないが、3日は死にはしないだろう。
溜息を苦く重く吐き出した。ふと記憶の端に引っ掛かったあの真っ青な空に想いを寄せながら。



                            to be continued...

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